2015年11月29日日曜日

Pick Up Anonymous #4


「名も無いひと品」4回目。どんぶりです。
お店を始めてまだ間もない頃、作家ものの器ばかりを取り扱うデンマークのとある美術商の方が
「ボウルの形の佳し悪しは、両手をお碗状に合わせた時にしっくりと馴染むかどうか」
と語って、とても驚いたことがあります。漢字の"碗"または"椀"にも表れているように、まさしく手に添うことが佳い形であるとは、以前に唐津焼の作家さんからもお聞きしたことがあり、まさか国も文化も違うところで、同じ感覚の話に出会うとは思いませんでした。しかし轆轤であれ型であれ、用具が人の身体の延長にある以上は、そこに大差はないのかもしれません。



黒にサーモンピンクとはまた不思議な取り合わせ。搔きとられた斜線の紋様がモダンさを強調しています。高台のすぼみ具合が、一見普段使いの安定に心もとない気もしますが、ものが入るとその重みで重心が整います。肉じゃがなどを盛り付ける中鉢、または雑にかっこむどんぶりとしても楽しい風体です。
裏に銘があるにはあるのですが…こちらも不明です。