2015年3月30日月曜日

KRONJYDEN Backstamps


 
KRONJYDEN窯(クロニィデン/クロンユイデン)、イェンス・クイストゴーの陶器たち。
テレビや雑誌のインテリア/料理コーディネートなどに登場する機会も増え、数年前と比べて圧倒的に認知度も上がっています。
 
そこで、よくお問合せがある、
*バックスタンプの違い
*スタンプの無いものはニセモノ?
以上をこちらに、あらためて解説いたします。
 
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1957~87年まで製作された一連のシリーズ、特にReliefは最初期からのものですので、写真の様にバックスタンプが数種あります。
写真真ん中のスタンプが無いもの。元々は右下のシールを貼る仕様で、それが経年で剥がれ落ちたり、あるいは貼り忘れ(^-^;)などが起こっています。その後、刻印が染め付けられる様になりました。
製陶元は地名由来であるKRONJYDENで、3度の買収先を経て、最終ロイヤルコペンハーゲンとビングオーグレンダールの合併で閉窯するまで行われました。スタンプの違いは販売会社~ディストリビューターを示すもので、実際の製作は同じ場所/窯になります。従って、釉薬~仕上がり感の違いがスタンプに反映されるものではありません。
 
本シリーズ特有の「個体差」ですが、1950~70年代の高度成長期は、世界的にあらゆる大量生産が展開された時期であり、デザイナーは会社からコスト面などで様々な制約を受けたり、営業上の軋轢を抱えていました。そこで、生産性を維持しつつ、デザイン表現が豊富になるよう、いろいろな製作法~可能性が模索された時代でもあります。
激しい個性が魅力的な作風は、狙って行われたものなのか、単に精度の問題であったのかは、今となってはナゾです・・・
 
「ニセモノ?」についての話は古いものにありがちです。
結論から言えば、100%ありえないでしょう。現実的な事情からの憶測にはなりますが、KRONJYDENのプロダクトで言えば、商品単価、需要などから鑑みて、あらたにニセモノ用の窯を建立し、製造して割に合うものであったかどうか疑問です。例えばARABIA Ruskaなどは、90年代まで製作されつつ、香港やオーストラリアなど、かなり国際的な展開がされていましたが、ニセモノの話はありません。つまり、メリットが無いということになります。
 
ヴィンテージを試す上で、現行品の様に会社が既に無いなど、いろんな点で不安を感じられる方もおられると思います。
可能な限りの文献を手に入れ、また当時を知る方にお話をお伺いする。デザインの過渡期と言われる時代の中で産み出された名品の数々を、それら背景を元に愉しむのも、古いものならではの魅力ではないかと考えています。
 
ちょっと長くなりましたが、この辺りで。